続いてインゼル出資馬の2024年の戦績について。
インゼルの2歳馬以上ではすでにファンド解散済の馬も含めると
の5頭に出資実績があり、2024年の各馬の戦績を総合すると
(2-3-2-2-1-5)
こちらも未勝利と1勝クラスばかりですが、まずまず安定した結果ではありました。
それでは1頭ずつ振り返っていきましょう。
・ローリーグローリー(牝3、美浦・蛯名正厩舎)
2024戦績:(1-1-0-1-0-2)
募集総額1億2,500万円の超高額・超良血◯外です。
母Roly PolyはA.オブライエン厩舎の管理馬でR.ムーアJとのコンビでG1を3勝した名牝。こういう馬の仔を日本に導入できるのはクールモアとコネがある松島オーナーがバックにいるインゼルの強みだと感じています。
今年初戦はデビュー戦となる中山ダート1200m戦でしたが、もともとここは除外狙いで東京が本線だったんですよね。しかし運がいいのか悪いのか狭い抽選枠に入ってしまい…それでもルメールJを確保していたあたりは抜かりないというか、高額馬の出資者に対する配慮めいたものを感じました。
レースはやや忙しい感じでキックバックも嫌そうだったものの直線はいい脚を見せて2着。上々の内容で次戦での勝ち上がりを予感させます。
2戦目となる東京ダート1400m戦はインゼルの主戦と言っていい武豊Jに満を持してスイッチ。番手からの競馬でスムーズに運ぶと直線も追い比べをなんとか制して待望の初勝利を挙げました。◯外ゆえ牝馬でも牡馬に混じって戦わねばならない中で早々に勝ち上がりを決めてくれて安堵しました。
その後小休止を挟んで臨んだ昇級戦は相手のレベルも上がっていたしキックバックをまともに受けたしで嫌になったか12着と大敗、武豊Jの進言を受けて芝に挑戦した札幌1500m戦は後方からになるも洋芝がフィットしたのか終いはなかなかいい脚を見せて4着、芝で続戦し中山マイルを試すも本場の速い馬場への対応は難しかったのか15着と惨敗で今期を終えました。なかなか成績に安定感はありませんが、骨折歴もあり今もなお脚元には不安がつきまとうこともあって厩舎でもあまりハードな調教はしていないのでまだまだ今後の伸びしろもあると思います。
ローリーグローリーに対する来年の期待としては勝ちを重ねてほしいのはそれはそうなんですが、意味合い的には今後の繁殖としての価値を高めてほしいからという理由なんですよね。これだけの血統背景を持っていますし、あと2つほど勝てればそれなりの箔がつくでしょう。松島オーナーも牧場を持つプランがあるそうですし、数年後はドウデュースとの産駒がインゼルで募集されていても不思議ではありません。ゆくゆくはインゼルの基幹繁殖の1頭になってほしい思いがありますので、そういう未来のために結果を積み上げていってほしいと思います。
・トーマスフレア(牡3、栗東・四位厩舎)
2024戦績:(0-0-0-0-1-3)
Saxon Warrior産駒の◯外ですが残念ながらファンド解散となりました。
今年5月の未勝利戦では5着争いをハナ差制して初の掲示板&権利取りと頑張ってくれましたがその後は苦戦、生き残りをかけた最終戦は血統的に合いそうな洋芝で一気の距離延長に活路を見出そうとしましたがスタミナ切れで大敗に終わってしまいました。
この馬を通じてヨーロピアンの難しさが身に沁みました。Saxon Warriorはヨーロッパにおけるディープ後継種牡馬ですが本馬の場合はキレる脚はなく、どちらかと言えばヨーロッパ特有の重厚さのほうが出ているように感じましたがかと言って長距離に対応できるだけのスタミナもなく…2000m前後でスピードや瞬発力勝負となるとかなり分が悪かったように思います。
今後ヨーロッパの種牡馬の産駒を検討する際はその種牡馬のスプリント実績か、あるいはマイル〜中距離くらいならG1◯連勝のような傑出度の高さを重視したいと今は考えています。
2024戦績:(1-1-1-0-0-0)
日本では血統的にまだ希少であろうCathoric Boy産駒の◯外です。
今年2月まで待って出資しましたが前評判通りのいいスピードを持っていましたね。
デビュー戦となるダート1400m戦は2着。番手からセンスのいい競馬をしてくれましたが勝ち馬ドラゴンウェルズが強すぎました…。なんせ1秒5も差をつけられてしまいましたからね。
続く未勝利で初勝利。ローリーグローリー同様◯外牝馬でこの時期の勝ち上がりは本当に安心します。この時2着に降したアメリカンステージはその後中京2歳Sを楽に逃げ切り現在3連勝中で大器の予感を漂わせています。条件が違うとはいえこれだけの相手によく勝てたなと思いますよね…。
勝ち上がりの後はこの馬のスピードを評価して芝に挑戦してみようということでさざんか賞へ。距離もこれまでより1ハロン短かったため中段後方くらいの位置取りになり、上がり最速の脚を繰り出すも3着まで。騎乗した武豊Jは「(やっぱり)ダートかもしれない」と辛口でしたが、9頭立てらしく前半600m通過が34秒9のスローの後傾戦の展開を後方からに上位に来たのはこの馬だけでしたし個人的にはまだ完全にダートと決めつけなくてもいいかなと思います。
マジカルシャインに対する来年の期待としてはまぁ2勝目、3勝目ということになりますね。牝馬で飼い喰いが安定しない面もあるようですが馬格自体は十分立派なものを持ってますし、強い相手に勝っているわけですから将来楽しみな1頭だと思います。
・ナクライト(牡2、美浦・国枝厩舎)
2024戦績:(0-1-1-1-0-0)
好調新種牡馬アドマイヤマーズ産駒で牝系をたどるとBest in Showに行き着く良血馬です。
デビュー戦は稍重の東京芝マイルを1000m通過1分5秒4の超絶ドスローに落としてまんまと逃げ、これはそのまま逃げ切れるかと思いましたが…最後は勝ち馬の決め手に屈しました。
2戦目の福島1800m戦では単勝1倍台の人気に推され、好位からいい形で進めますが少しジリっぽい感じで勝った逃げ馬を捕まえきれないどころか後ろからも差され3着。1800にも対応できるのが分かってよかったとは思うものの、今振り返るとここは勝ち切っておきたかったですね。
3戦目は再度東京マイルを使うも、ゲート内で派手に暴れてしまい外枠発走、にもかかわらず抜群のスタートで今回も逃げるかなと思いましたが内枠の馬に譲るような形で番手に控えて結果4着。8頭立てでスローが見込まれる中絶好のロケットスタートだったので結果的にはそのまま逃げてもよかったのかなと思います。3角~4角あたりで勝ち馬に被されるような形でその後ちょっと窮屈になってしまったのも苦しかったですね。
レース後はゲート再審査を科されてしまいました。ただ再審査なら普通に大丈夫だろうとたかを括っていたのですが…まさかの不合格!再試験となってしまいました…。ゲートの出自体はいつもポンと出てくれてセンスも感じるだけに強みになると思いますから悪いほうに向かないでほしいですね。
ナクライトに対する来年の期待としてはやはり勝ち上がりになりますね。 インゼルは現状地方の資格を持ってないようですし、キレで勝負するタイプではなさそうですから、芝でもダートでもローカルでももうなんでもいいので1つ勝ってからいろいろ考えたいですね。
2024戦績:(0-0-0-0-0-0)
期待のキタサンブラック産駒ですが、骨折の影響で年内デビューは果たせませんでした。
ナクライトも6月の早期デビューでしたが、元々はこちらのほうが早いかなというくらい順調だったんですよね。しかし好事魔多し…。
現在は回復して入厩中なのでここから順調に進められれば新馬戦にはなんとか間に合うかもしれませんが、故障明けの身ですから焦らずじっくりとやってほしいですね。
※ブログ内で記載している近況やレース後コメント等一部の情報は、インゼルサラブレッドクラブより許諾を受けて転記させていただいております。